VOSの系譜(VOS0、VOS1、VOS2、、そしてVOS3へ)・・完結

By 岡田 - Posted: 2013/09/26 Last updated: 2016/11/30 - Leave a Comment
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現在、日立が出荷しているオペレーティングシステムとして主流となっている「VOS3」ですが、その足取りをもう少し詳しく書きたいと思います。

文字の通りVOS3は「Virtual storage Operating System 3」であり、三番目です。“11.メインフレームのオペレーティング・システム”で小さく記載がありますが、VOS3にはVOS1とそして、VOS3に包含された形となったVOS2という兄弟分が居ました

これから少しずつこの2つのOSについて(書ける範囲について)書いていきたいと思っています

一つOSを忘れて居ました。それは、”VOS0″です
VOS1,VOS2、VOS3がリリースされた後、VOS1の機能が拡張されていくうちに、VOS1の下位部分の機能を持たせたVOS0が登場しました

したがって、ここでご説明するのは、VOS1,VOS2,VOS3とVOS0の4つになります

1)VOS0,VOS1,VOS2,VOS3の共通項
4つのOSの先頭に”VOS”が付いているようにこれらのOSはすべて仮想記憶システムです。CPU(中央処理装置)が持つ実記憶装置(メインメモリ)とプログラムが実行できるアドレス空間が分離していることでプログラムを作成する実記憶を意識せずに自由度や拡張性の高さを持たせることができます。

先にも書きましたが、VOSシリーズが出来た当初、OSはVOS1、VOS2、VOS3の3種類でした。用途として、以下のような分類をしていました
VOS1:主に中、小型向けコンピュータOSとして
VOS2:主に大、中型向けコンピュータOSとして
VOS3:主に超大型、大型向けコンピュータOSとして

さらに、VOS3はVOS2の完全上位互換を持たせて居たため、VOS2はVOS3に吸収される形となり、姿を消しました

後にVOS1は進化とともに機能の進化の過程(詳細は2項を参照)で、VOS2が占めていた中、大型の分類にシフトしていく事となり、VOS0が誕生。VOS1が占めていた中、小型のコンピュータOSとして運用される形となりました

RJE(リモートジョブエントリー)という機能がVOS3にはありまする。
メインセンターにある超大型汎用コンピュータと遠隔地にある中、小型コンピュータ(VOS0またはVOS1が稼働する)を通信回線で接続して遠隔地のプリンタやディスクをメインコンピュータの一部として利用できるようにするものです

現在の用語で言うと、「分散処理システム」の草分けだったと思います
こうしてVOS3とVOS0、VOS1の関係は保たれていきました

2)VOS1について
VOS1は当初、中、小型向けコンピュータOSとして誕生しました。
その後、技術の進歩に伴い、VOS1→VOS1/ES→VOS1/ES2→VOS1/FS→VOS1/LSと進化をたどり現在では中、大型向けとなっています

VOS1ーSはVOS1の後で、VOS0とともにリリースされたOSですが、進化の過程とは違うので、上記から除外を致しました

私は上記で説明しましたRJEでVOS1/ESと関わりを持ちました
RJEの通信回線の形態によっては、バイナリ転送が可能だったため、遠隔地のMー630に磁気テープ装置を接続してメインセンターにバイナリデータの送受信をしていたのを覚えています


3)VOS2について
VOS2は主に大、中型向けコンピュータOSとして作られました。
私はVOS2に触れた事がありませんので、詳細は知りませんが、VOS3が持っている多重仮想記憶制御を持たなかったそうです。

多重仮想記憶制御は、OSが提供できる領域を1つのタスク独り占めできる概念で業務を行う事ができるという事です。
システム側は実行されるタスクの多重度に応じて、ディスクパッチング制御を行う必要性が出てきますので、高い性能を求められます

後述するVOS3がVOS2の完全上位互換を持ったOSとして作られたため、VOS1の性能向上とともに姿を消しました。


4)VOS0について
最後にVOS3の説明をしたいので、VOS0の説明をここで致します
VOS0は既にリリースされていたVOS1が進化している過程で、VOS1より機能を抑えた小型OSの分野として導入されたOSです。
その後VOS0/ESに進化を遂げました

VOS1でもご説明しましたが、VOS0/ESの時、同じくRJE環境としてLー470で触れた事があります。この当時、正直、Lー470のVOS0/ESとMー630のVOS1/ESの違いが分かりませんでした


5)VOS3について
以下の内容はWikipediaの内容と違う部分があるかもしれませんが、27年で培った経験から書いている部分もあります。ご了承下さい

VOS3は超大型、大型向けコンピュータOSです。
VOS3/SP21→VOS3/ES1→VOS3/AS→VOS3/FS→VOS3/LS→最新のVOS3/USと進歩してきました。それぞれについて説明します

VOS3/SP21:24ビットアドレッシングモードを基本としたOSです。そのため仮想記憶領域は16MBとなっていました
現在、SP21のアドレッシングモードは”Mモード”という言葉で使われています

VOS3/ES1:(Virtual storage Operating System 3/Extended System product 1)
VOS3/SP21リリース後、31ビットアドレッシングモードを基本として作られたOSです。仮想記憶領域は2GBにまで拡張されました

ES1では、さらにCPUとのIOとのデータ転送方式として、現在主流となっているECS(拡張チャネル機構)を導入しました。
そのため、従来のSP21のモードを”M/EAモード”、そしてECSを採用したES1のモードを”M/EXモード”という言葉で使うようになりました

マルチプロセッサ機能である。LCMP(疎結合マルチプロセッサシステム)、TCMP(密結合マルチプロセサシステム=主記憶装置、チャネル以下の補助記憶装置の環境は共有しつつ、命令プロセッサが複数存在するシステム形態)の機能をサポートしたのもこのOSからです

私がVOS3と最初に関わり出したOSです
CPUはMー680だったと思います

当時、多数のMVS互換ソフトウウェアをVOS3上で稼働させていたのですが、MVS互換ソフトウェアが24ビットアーキテクチャで作られていたため、VOS3の31ビットアーキテクチャと共存させる時にはOSのバッファなどを16MB以上の領域に移す事になるため、注意をしました


VOS3/AS:(Virtual storage Operating System 3/Adbanced System product)
M/EXモードの機能を包含し、さらに拡張されたM/ASAモードを搭載したOSです。VOS3/ES1の仮想記憶領域はそのままに、データ空間、スーパー空間が加わりました

このデータ空間、スーパー空間領域こそ2GBですが、複数の領域を確保する事が可能なため、最大16TBまでの領域を仮想空間上に持たせる事ができるようになりました

CPUモードは”M/ASA”です

ハードウェアアーキテクチャの進歩により、CPUに搭載できる実メモリサイズが仮想記憶領域の上限である2GBを越える容量を搭載できるようになりました。2GB以上の領域を有効活用するため、VOS3/ASでは以下の機能をサポートしました

XPL:拡張プログラミングローディング機能(メモリにロードモジュールやディレクトリ情報を常駐させローディングの高速化を行う)
ES:拡張記憶装置。CPUが持つ主記憶の一部をシステムやユーザが自由につかえる(最大8GB)

この他、以下の機能のサポートによりシステムがES1よりもユーザニーズに合わせる事が可能になりました
PRMF:プロセッサ資源分割(1つのCPUで複数のOSを稼働させる)
MSCF:ローカル複合プロセッサ(複数のOSを連携できる)

上記に書ききれないさまざまな機能が追加されたOSです。
私にとって革新的と言っても過言でないOSの一つです


VOS3/FS:(Virtual storage Operating System 3/Forefront System)
このOSから、”パラレル”という概念が基本理念に加わり、”Mパラレルシステム”と呼ぶようになりました
VOS3/ASでソフトウェアの進化というよりも、ハードウェア(CPU)の進化に合わせてOSの名称を変えていく(もちろん、マイナーチェンジはしているのですが、、)事になります

従来、日立から出荷されていたCPUは先頭が”Mー”だったのですが、新CPUから”MPー”と変わることになり、

サーバやパソコンなどの垂直分散システムの構築を意識したインフラ拡充、高速結合機構(HCCF)のリリースにより、MSCFを上回るパラレル化が可能になりました


VOS3/LS:(Virtual storage Operating System 3/Leading System)
VOS3/LSのバージョン01ー00より、64ビットアーキテクチャ(M/64モード)を採用しました

M/64モードでは2GBを越えた仮想領域を使うことが可能となりましたが、ユーザは2GB以上の領域を意識してコーディングする事はできないようになっています。

VOS3が世に出て以来、”上位互換”を守ってきました。
VOS3/LSがVOS3/ASで稼働していたユーザプログラムの実行保証をしているように2GBを越えた領域をユーザに開放してしまうとこの環境を保証しなければならなくなります。ユーザの開放を制限したのには将来の事を考えての事と思っています

M/64モードが最も効果を発揮するのがデータベースです。
XDMやTMSー4Vなどのバッファをシステムが2GB以上の空間に移すため、2GB未満の領域をより有効に活用できるようになりました。

また、VOS3LARGE SCALEの導入により装置台数を8192台より増やすことが可能になりました

ディザスタリカバリを意識したインフラ環境になったのはこのOSからです


VOS3/US:(Virtual storage Operating System 3/Unific System)
現在リリースされている最新のVOS3です。
最大の特徴はCPUが搭載する”アクセラレートプロセッサ(AC)”支援機能を持った事です

従来、システムで処理する演算装置は命令プロセッサだけでした
本OSをサポートするCPUからアクセラレートプロセッサ(AC)が搭載されるようになり、システムで処理する一部の機能の演算をACに肩代わりさせる事で、命令プロセッサの負担を軽減して、さらなる処理に対応できるようになりました

昔、内蔵アレイプロセッサ(IAP)がありました。
このプロセッサに実行する権利を与えるのはユーザ側でした
しかし、ACは違います。システム側で設定をします。さらに、ACに処理を肩代わりする事ができるのはシステムに組み込まれたアプリケーションの一部に限定されています。

そのため、命令プロセッサが2個搭載したCPUと命令プロセッサ1個+AC1個の組み合わせでは後者の方が単価は低くなっているようです(私の認識です)

バージョン04ー00にて6588ー9にシステムデータセットの配置が可能となり、05ー00では6588-Lへのシステムデータセットの配置が可能となりました

また、大規模災害に備えたBCP(事業継続計画)を意識したインフラ環境を提供するOSでもあります

最後に、、
VOS3/USは最新バージョンが05ー00です
今までのOSは05ー00や06ー00あたりになると、次期OSの話題が聞こえてくるのですが、、期待したいところです
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