メインフレームシステムが歩んできた2つの形態

By 岡田 - Posted: 2013/07/13 Last updated: 2013/09/17 - Leave a Comment
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みなさん。こんにちは、、

今までに大型汎用機(メインフレーム)が歩んできたシステムには大きく2つの形態があります。

1)クローズドバッチシステム

メインフレームが出来た当初からのシステム形態です。

システムで動作させる業務はほとんどの場合、定型業務(一定の期間、規模)になっており、それを決められた期間内に(安全に安定して)処理することが求められます。

システムには殆どの場合オペレータを配置します。システムで処理する業務の対応やトラブルが発生した時の対策、管理部署に連絡するなどのエスカレーションをします。

例として、銀行のオンラインシステムや鉄道の運行管理システムなどは、お客様がお金の送金をしたり、旅行に行くために電車に乗るといった要求を達成するための言わば「縁の下の力持ち」的存在としてクローズバッチシステムを採用している所が多いようです。
(ATMや券売機から操作できる業務はそこで実行されるプログラムが予め作られたものであるため、処理の内容が確定しています。そのため定型業務に含まれます)

ただし、このシステムは直接的に利用する人が限定されるため、セキュリティが弱くなる可能性があります。システム自身にセキュリティを設けようとすると、セキュリティをするだけでもCPUが能力を使う事になるため、ただでさえ低い性能しか無かった昔のコンピュータシステムでは対応が出来ない事、そしてセキュリティを盛り込むためにシステム側には準備期間と開発コストが必要になります。
そのため、システム自体に直接セキュリティを施すのではなく、外的方法で(ハード的に)セキュリティを高めているのが実情です。マシン室への入出時にIDカードなどを用いて個人認証をすることなどです

もうひとつの特徴としてクローズドバッチシステム自体、決まった業務しか動かないので、システムを作る際に求められる性能(能力)がつかみやいです。
安全に安定してシステムが稼動できるのであれば、システムに「手を加える」ことは原則的にはしません。「手を加える」ことでシステムの動作が不安定にさせることが出来ないからです。

ただし、突発的な処理(非定型業務)に柔軟に対応できないという欠点を持っています。


2)オープンバッチシステム

クローズドバッチシステムとは逆の形態を持ったシステム形態です。

メインフレームコンピュータの能力が上がってきて、システムを使って結果を求める人
(要求者)が従来のクローズドバッチシステムでの業務形態では結果を得るのに時間がかかるため、要求者が直接システムを使い、結果を(直接的に)得るという流れが必要になってきました。また、今まででは高価でシステムを利用する事が出来なかった人でも使える可能性が見えてきて、要求者の求めに応じてたくさんの処理をする非定型業務を行う事が求められたシステムがオープンバッチシステムとして運用されるようになりました。

従ってオープンバッチシステムは非定型業務をいち早く処理するように要求されます。

オペレータが必要な点はクローズドバッチシステムとは変わりませんが、オペレータはシステムにトラブルが発生した時の為であり、システムで処理する業務は非定型業務が主流です。

「安全に安定して」という概念よりも「少しでも早く確実に」が優先されるのがクローズドバッチシステムとの大きな違いの一つです。

例として、大学の中にあるコンピュータシステムの場合、生徒や教授は勉強のために必要な計算結果をシステムに求め、また大学の運営側にいる財務の人などは大学の財務計算や資材管理などを求めます。こういった場所にはオープンバッチシステムが有効です。

私が知っているオープンバッチシステムでは、要求者はグループ企業の社員とそのシステムで稼動させるアプリケーションを開発する複数のベンダー企業の開発者からなっていて、TSSのユーザIDとTSS端末を提供して、いつでもシステムを利用できるようにしていました

非定型業務を多く抱えるシステムは、日々同じ性能を要求されるわけではなく、要求された時によって求められる性能が違います。しかし、要求されたときによってCPUの性能を変える事は出来ないため、結果としてシステム構築時に想定される非定型業務よりも高い性能を用意する事になります。
また、オープンバッチシステムはクローズドバッチシステムより明らかにシステム利用者(要求者)が増えます。

この結果、セキュリティがクローズドバッチシステムより高くなければならなくなります。更にこのセキュリティをシステム内部に盛り込む必要があります。見知らぬ人がTSSを介して一つのシステム共用するため、要求した結果が別の人に渡ることを防がなければならないからです

そこで、オープンバッチシステムとクローズドバッチシステムとで以下のようなセキュリティの違いがあります

A)ユーザデータセット名(DATASET)を作成する場合
クローズドバッチシステム:”DATASET”という名称で作成されます
オープンバッチシステム:TSSのユーザIDが先頭に付き、
            ”ユーザID.DATASET”という名称で作成されます

B)実行するジョブ名
クローズドバッチシステム:実行するジョブ名に制限はありません。
            逆に、実行する業務が決まっていると、ジョブ名も決まって
            いるのが通常です
オープンバッチシステム:実行するジョブ名はTSSのユーザID+1文字が普通です
            実行する業務はTSSを扱うユーザが決めます。したがって、
            ジョブ名は決まっていなくても良いのです

C)データセットへのアクセス
クローズドバッチシステム:制約を作りません。システムを利用する人は限定されて
            いるので、制約をする必要がそもそもありません
オープンバッチシステム:他のユーザ、他のグループ※のデータセットはアクセス制限
            のため普通ではアクセスできないようになっています。

※オープンバッチシステムの場合、同じ部、課のユーザを一つのグループに属して管理をするのが一般的です


セキュリティに関連して、多くの人にシステムが利用できる環境を提供する場合、”課金(アカウント)”という概念で管理をします。

システムを利用できる環境を提供する場合、利用者にアプリケーションを作成させるなどと言った成果を期待させますが、システム側にとっては特定の人間・組織(ユーザ、グループ)だけにシステムの利用が偏ることを防がなければなりません。この不公平を管理できるのが、”課金”という概念です。

システムを利用する場合、以下のような資源(リソース)の消費を管理できるようになります

1)データセットを作成する
  →データセットを保存した容量として「スペース量」を管理する
  (保存した日数を積算する場合もあります)
2)CPUを利用する
  →結果を得るために消費した時間を「CPU時間」として管理する
3)プリンタに処理結果を印刷した
  →プリンタに印刷したページ数を「出力ページ数」として管理する

上記3つの情報を”課金情報”としてユーザ、グループ単位に管理して、独占的な利用者に対して不公平の防止をしたり、ディスクスペース量、CPU時間、出力ページ数のそれぞれに金額を設定して、年間予算で管理する場合もあります。

上記の2つのシステム形態はVOS3の場合システムパラメタで選択します。
SYS1.PARMLIB(JSS3PARM)の&OPBATCH=YES/NOです


上記でご説明しました2つのシステム形態ですが、原則的に一つのシステム上で共存はできません。共存させようとすると、必ずなんらかの弊害が出てきます。


このようにメインフレームシステムが辿ってきた形態ですが、これからどのような形態が出てくるのでしょうか?

楽しみです
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