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メインフレーム技術者がなぜ育たないか?

タイトルの記事を書くのですが、最初に理由から。オープン系に比べメインフレーム系の技術者が育つ(ここでは、より技術的に高度な仕事ができることを意味している)時間は遅いです。
その理由を明らかにすることで、メインフレームにたずさわっている人の将来と、穴に落ちてなかなか進まない状況を避けたい、さらにこのサイトでどうフォローすればいいのかも、できれば考えてみたいからです。

覚えることが多い
端的にいえばマニュアルの分厚さです。最近はDVDやWEBになったせいで、物量の把握が難しくなりました。推測ですが紙にすると、5メートル幅くらいのキャビネをドンと3段は占領するのではないでしょうか。
データセットで今使われているものにしても数種類、レコード形式の違いがそれぞれあり、扱うユーティリティも違います。さらにデータベースもやるとなるとIMSで数種類+DB2。
セキュリティのRACFもリソースごとに扱いが違い、言葉を覚えるだけでも一苦労。なんでもOSでやろうとするため、範囲が広い。Z/OSについてなんでも知っている、という無理をしないことが大事だと思います。基準はやはりLinuxエンジニアのような感じになるのでしょうか?そう絞っても覚えることは多いですが。
その場限りがむしろ例外
UNIXなどではコマンドをたたいて仕事して、その仕事のログと結果を保存しろなどとはいわれないと思います。メインフレームではTSOでいろんな仕事を済ませると「記録に残らない」とJCLでの仕事をうるさくいわれている人が多いと思います。少し大掛かりになると夜間バッチに回せ、といわれたりすらすることでしょう。対話的に仕事をするのと、定型的に仕事をするのでは「行動-フィードバック」のサイクルに大きな差が開き、それが学習効果にもたらす影響は大きいでしょう。
妙な徒弟制度
これは日本特有かも知れません。もともとメインフレームは研究所で最新の技術成果を投下した、いわゆるハイテク製品でした。そのころは扱う人もエンジニアだったのですが、自動化が進むにつれ、「定常業務については」誰もがコントロール可能なものになりました。このころから「どうしてこうするか?」ではなく、「こうしなくてはイケナイのだ。理由は聞くな。」という運用、オペレータの文化が育成されてきました。新人の「どうして?」という疑問に答えることもなく、形式主義となり長年勤めた人がエライ、という当初のコンピュータ運用とはかけ離れたものとなってしまいました。しかし、コンピュータはハイテク製品であるため、ある日突然、新技術により豹変します。形式主義では対応できないのです。また、「試す」という行為ができない現場では人は学習のしようがありません。
プログラミングの難しさ
このポータルでもプログラミングの解説を多く行っていますが、システムを触ろうとすると圧倒的にアセンブラーをつかわねばなりません。高水準言語でシステムと協調して動くプログラムを作ることのハードルがとても高いのです。これは、エンジニアに長時間の学習を強います。
コミュニティの乏しさ
メインフレームの世界には不思議なことにフリーウェアのポータルがありません。はっきりしませんが、アメリカではUS IBMが難癖をつけて潰す、と聞いたことがあります。ユーザーのスキルの低いことがビジネスチャンスであったことは間違いないのですが、今の時点でそれは正解でしょうか?
以上くらいを考えてみました。他にもあるかもしれません。ここから導き出されることは「自分用の環境をもち、すばやくテストする」「わからないことを人に聞ける、例がある」という点がLinuxなどと大きく違い、エンジニアが育たない原因かもしれません。
手前ミソになりますが、アルテシードでは前者をherculesで、後者をこのサイトでカバーしエンジニアの成長に貢献できたら、と思っています。