08.システム管理

By 神居 - Posted: 2008/10/20 Last updated: 2009/10/17 - Leave a Comment

SMF(System Management Facilities)

MVSの運用においてシステムとジョブに関連するさまざまな情報を収集する機能です。VOS3ではSMSと呼ばれます。システムの運用担当部門は直接のオペレーション業務だけでなく、システムの状況を正しく把握・分析して、より最適なシステムになるよう改良し、ジョブの特性に合わせた運用を行う必要があります。またシステムの利用者に、使用した資源に応じた課金を行うこともあります。これらの仕事をシステム側から支援するのがSMFです。
SMFは主にジョブ及びジョブ・ステップ単位のスケジューリングに関する情報、課金情報、システム資源の利用状況、どのようなデータセットが利用されたかなどの情報も収集されます。

SMFが収集したデータは、SMFデータセットに書き込まれます。データセットに書き込まれるデータをSMFレコードと呼びます。通常SMFデータセットは複数個用意され、1つのデータセットが一杯になると残りの予備データセットに切り替わります。


RMF(Resource Measurement Facility)

SMFはジョブ運用の観点からの情報が中心ですが、システムのチューニングに直結する情報はRMFによって収集されます。MSPではPDL/PDA、VOS3ではSAR/D/ESが相当する機能です。RMFは必要に応じて起動され、システム全体またはジョブ空間毎の、CPU使用量、メモリー使用量、ページング状況、チャネルやデバイスの使用率(BUSY度)やパフォーマンス、資源の競合など、さまざまなシステム資源の活動状況を記録しレポートとして出力します。RMFレポートを分析することによって、パフォーマンスの阻害要因や資源を独占しているジョブを見つけ出すことができます。
しかしながらこれを正確に行うには、MVSも含めメインフレーム・システム全般に関する十分な知識と経験が必要で、運用部門の業務の中でも難易度の高い部類に入ります。

MVSパフォーマンスチューニング入門

SRM(System Resources Manager)

SRMはMVSシステムのパフォーマンス制御を行う機能です。主としてCPU、メモリー(実記憶)、I/Oの3つの資源を、システム内の各ジョブに適切に配分して、各プログラムの応答性を保ちつつ、資源の使用効率を高め全体のスループットを向上させる役割を持ちます。MSPではSDM(System Decision Manager)、VOS3ではRCM(Resource Centralized Manager)と呼ばれ、細かな制御方法に違いはありますがSRM同等の機能です。

SRMの目標は大きく2つです。

しかしこの2つは相反する関係にあります。 1つのジョブを優先すれば他は動けず資源に遊びが生まれ、すべてを平等に扱えば資源を取り合い競合するのでみんなで遅くなります。そこでSRMはお互いに大きな支障にならない程度にバランス良く対処する「妥協点」を見いだします。元々はオペレーターの作業分野ですが、この種の作業は「勘と経験」を頼りにした高度な技能を必要とします。SRMはこれをOS自身で肩代わりするものです。

SRMでは管理の対象を以下のように分けます。

MVSではユーザーの仕事の単位はジョブですが、SRMではこれを「トランザクション」と呼びます。バッチやSTCタスクではジョブ、TSOでは1回のコマンド入力がトランザクションに対応します。IMSやCICSなどオンライン・リアルタイム処理を行うシステムでは、ジョブ全体のサービス制御に加えて、DCシステムのトランザクションをSRMのトランザクションに対応させることもできます。

SRMの活動状況をレポートするのがRMFになります。オペレーターやシステム管理者はRMFのレポートに基づきSRMのパラメーターやWLMのポリシーを調整します。これがMVSのシステム・チューニング作業です。

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