メインフレーム関連書籍の紹介

By 神居 - Posted: 2008/10/02 Last updated: 2009/10/23 - One Comment

20年程前までは、街の大きな書店には意外にもメインフレーム・コンピュータに関する書籍が置いてあったりしたものです。私が過去に購入し、ずいぶんと参考になったものを中心に紹介します。書籍に関してはどれも絶版で今ではまず見られませんが、amazonなどのネット書店などで中古本が出ていたりします。国会図書館には蔵書されてもいますから、東京近郊の方なら閲覧も可能です。英語でもよければamazonでMVS、z/OSなどのキーワードで探せば、洋書ならいくらでも手に入ります。


オペレーティング・システムへの構造的アプローチ(上・中・下巻)
日本アイ・ビー・エム 江村潤朗 著

日本コンピュータ協会 発行(1972年)
ベースになっているのはS/360あるいは初期のMVSですが、その内部構造が詳細に解説されていて、当時のシステムプログラマーのバイブルとも言える本です。初心者・初級者には少々レベルが高いですが、現在のz/OSにも十分活用でき、内容も濃いので今から手に入れても決して損はありません。

オペレーティング・システム
S.マドニック & J.ドノバン 著 池田克夫 訳

日本コンピュータ協会 発行(1976年)
実はこの本は購入していません。駆け出しのシステムプログラマーだった頃、東京の八重洲ブックセンターに置いてあったのを見つけ、欲しかったのですが値段が高く、当時の私には手が出ませんでした。すでに絶版でそれからはいくら探しても手に入りませんでした。S/370をベースに解説され、OSの原理や構造をS/370アセンブラー言語での具体例が載っているそうで、当時喉から手が出る程欲しかったのを覚えています。

MVSの機能と構造―大型オペレーティング・システム
千田正彦 著

近代科学社 発行(1986年)
31ビットアドレッシングになったMVS/XAシステムをベースに、その機能と構造が解説されています。内容は表面的でなく比較的深いもののわかりやすく説明されています。もちろん今でも十分通用するので、これから汎用機のOSを深く掘り下げたい人に最初の1冊としてお薦めできます。

アセンブラプログラミング詳説
IBMシステム/360,370(上・下巻)

G.W.Struble 著 飯島純一・町田元 訳

近代科学社 発行(1979年)
汎用機に携わることになって最初に買った本です。アセンブラー言語を学ぶために買いました。今でも捨てることができません。

VM
岡崎世雄・全先実 著

共立出版 発行(1989年)
この本を買ったときはすでにWindows95が世に出ていました。秋葉原のLAOXコンピュータ館(当時)の書籍コーナーで見つけたものです。VMはIBM社の仮想計算機システムです。OSシリーズとして全12巻あってこれはその中の11巻目、10巻目はMVSの解説本でした。タイトルもそのまま「MVS」でした。

オペレーティングシステム
前川守 著

岩波書店 発行(1988年)
同名ですが前述の「オペレーティング・システム」とは異なる本です。OSに求められる基本的な機能が一般論で紹介され、さらにそれらの実装例として、MVSとUNIXが解説されています。

VSAMアクセス方式サービスとプログラミング技法
J.Martin著 千田正彦・丹羽展男 訳

近代科学社 発行(1989年)
買ってはみたものの、それほど読み込まなかった記憶があります。アセンブラー・プログラムでVSAMデータセットをアクセスための基本的な知識を習得できます。

MVS Concepts and Facilities
Robert H.Johnson著

Mcgraw-Hill発行(1989年)
MVSの基本から、ユーティリティの機能など幅広く解説されています。洋書にはこの手の本は沢山出版されています。

DASD IBM’s Direct Access Storage Devices
Robert H.Johnson, R Daniel Johnson著

Mcgraw-Hill発行(1992年)
DASDの構造から、具体的なアクセス手法、ESCONやSMSと言ったデバイスを取り巻く環境・機能などが細かに解説されています。アセンブラー言語で直接デバイスをI/Oするプログラマー向けの一冊です。

IBMシステム技術講座
自習書テキスト
メインフレーム・オペレーティング・システム入門

日本アイ・ビー・エム人材ソリューション 発行(2206年)
IBM社の研修サービスで出版されている自習書の一冊です。研修コースの1つに自習書コースがあり、この他にもいくつか出版されています。ホームページから個人でも購入できるのでマニュアルだけではどうも、と言う方はこういうものでも参考資料が探せるかも知れません。
IBM z/OS講座

アセンブラプログラミング入門(図解コンピュータシリーズ)
瀬下孝之・前田忠彦 著 江村潤朗 監修

オーム社 発行(1984年)
サイトをご覧になったバッキーさんからの情報です。この本の存在は知りませんでした。

アセンブラプログラミング入門―IBM System/370のための
(コンピュータサイエンス大学講座)

金山裕 著

近代科学社 発行(1977年)
同名タイトルの本でもう一冊。まだ20代の頃、会社の先輩が持っていた記憶があります。僕は同じ近代科学社の洋書版を持っていたので、こちらを買うことはありませんでした。

余談ですが、上で「VSAMアクセス方式サービスとプログラミング技法」を書いたジェームス・マーチンは、Rationalなど上流行程の大家のあのジェームス・マーチンです。

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One Response to “メインフレーム関連書籍の紹介”

Comment from バッキー
Time 2009年8月28日 at 22:05

System z ハンドブックをググっていたらこのサイトを発見しました。
かつて僕もアセンブラで出口ルーチンとかチャネルプログラムを書いていたのでとても懐かしいです。

ちなみに、構造的アプローチ、MVSの機能と構造、VMは目の前の本棚に並んでいたりします。たしかジャバラもどこかにあったはずです。

ところで、ここにリストアップされていないアセンブラの書籍ももってますので、データをお知らせしておきます。

アセンブラプログラミング入門
瀬下孝之・前田忠彦 共著
江村潤朗 監修
オーム社発行、1984年